■世阿弥
チャン・イーモウ監督の「英雄-HERO-」を借りてきました。
作品自体はわかりやすいモノですね。 シーンが切り替わり少し経つと、各シーンの内容がほぼ予想できてしまう程です。 シーンごとに色を変える手法を採っている事を考えれば、それすら監督の意図の内なのでしょう。
CGや一部の演出に不満はあるものの、観客は単純に楽しめます。
なんていうかな、水戸黄門などのTV時代劇のような「予定調和」の世界。 画面を支配する色や役者のメークによって、各シーンでのキャラクターの性格描写を強調したり・・・。 きちっとした「型」があって、決して外れない安心感。
・・・うーむ。 読み返してみると、こき下ろしているような文だな(^^; 誤解の無いように言っておきますが、私はこの作品が好きなのです。
気に入っているところを、書き並べてみよう。
ネタバレになるので、この映画を見ていない方は自己責任でお願いいたします。 m(__)m
気に入っているところ(下に行くほどお気に入りです。)
(1)わかりやすい、色の使い分け 秦国を表す「黒」。軍事を連想させる。暗殺者无名の衣装も黒。 残剣と飛雪のシーンに使い分けられる、赤・青・緑・白の各色。 愛憎を表す「赤」のシーンではメークが退廃的なのに対して、「青」では理性的な 印象とか。。。 自然の象徴である「緑」は残剣の境地。 「白」が死装束なのはお約束ですね。”色ではない”白のシーンでひとつになる残剣と 飛雪の心。
(2)中国各地の四季の風景 1シーンの中でさえ、めまぐるしく変わる季節。 なんといっても、湖上での対決シーンの美しさ。
(3)ジェット・リーとドニー・イェンのアクションシーン この二人と比べてしまうと、やはり他の出演者のアクションがかなり見劣りしてしま います(^^;
(4)・・・と、いいつつも他の出演者のアクション いや本当、がんばってます。 3で挙げた二人以外は、アクション俳優ではありません。 にもかかわらず、それなりのアクションシーンをこなすのはすごいことだと思います。 もちろん殺陣がつけられたのでしょうが、魅せる演技にできる役者という人々のすごさを 感じました。
(5)秦王役のチェン・ダオミン 恥ずかしくなる位に「紋切り型」な台詞回しがカワイイ(*´▽`*) いい役者さんです。
(6)様式美 登場人物の会話や所作等、折り目正しい様式美があふれています。 また、物語もきっちりと「型」通りに進むところがいいです。
うーん、私は物事の表面的なこと以外への理解力が無いようだな・・・。
アクターという漫画に、こんな台詞がありました。
役者ってなその役の「こころ」を持てば観客を説得できる。 しかし、いろんな人間の「こころ」というものは見えにくいし、持つのは難しい。 「形」ってのは、「こころ」を持っているかのように見せかけるために磨き上げられた技術だ。 だが、観る者を本当に感動させるのは「形」じゃない・・・「こころ」なんだ。
「こころより出でて形に入り、形より出でてこころに入る。」
私のような観客では、役者の苦労も実を結ぶまい・・・反省、反省。
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